【レビュー】山下達郎 Performance 2019 2019/07/30 (火)18:30 開演@東京エレクトロンホール宮城 大ホール (宮城県)

■やっと巡り合えた「名演」

※長文です、悪しからず…。

昨晩の余韻がまだ消えない…。
普通のライブのライブレポは、iPhoneのアプリからちゃちゃっとする私ですが、あえてパソコンの前に座り、気持ちを整えてレポを投稿するのは、興奮がとてつもない状態。それが今です。
語りたいことが山ほど…。文字制限に収まるかな。

現在34歳の私。
達郎さんの楽曲は普段はあまり聴かず、ベストアルバム『OPUS』の中でも『いつか晴れた日に』等の数曲を好む程度。だけど、ボーナストラックとして収録されている『硝子の少年』のあまりにもの素晴らしさに面食らい、滅茶苦茶それが好きなのは確か。

達郎さんのパフォーマンスは2016年の宮城県民会…、東京エレクトロンホール宮城に続き2度目。
「人生で一度は生で観ておきたい」アーティストを観てる中で、前回はどこか「本当にこの人、この世に存在しているのかな」と存在確認の気持ちだったのが本音(笑)
でも行ってみたら、いろんなアーティスト(web版のLiveFansから私の名前をクリックしていただければ過去の参加ライブがご覧いただけます)を観てきた中で断トツのパフォーマー、ミュージシャン、アーティストというのが分かりました。

今回のステージ、まず語りたいのは、過去私がフェスのステージも含め130ステージ程観てきた中で、1番のステージということ。チケット代に対してそのステージでもらえた興奮や感動が一番大きかった気がします。

昨今ライブが好きで月1以上観に行ってる気持ちの中に「ギャンブル感」ってありまして、「この人ならこの曲やってくれないかな」とその楽曲に1万円程のチケット代をベットする気持ち。今回はまさに『硝子の少年』にベットしてました。まぁここで過去を調べたら意外と演奏しているこの楽曲ですが、全くNO予習で挑む私としては「レアパフォーマンスなのでは」と思っていた中だったのでまさに”アタリ”の賭けでした。

1番のステージのワケ2つ目は、これも調べたら意外とやってますが『ハイティーン・ブギ』が聴けたこと。シティーポップを奏でるステージの中で、「ウケ狙いを一つ」との一言からからぶちかましてくれたずぶずぶのロックチューン。この曲を達郎さんが作曲していたことも会場を出てからスマホで検索して知り、もう最高。

そして、競馬をやらない私としてこの言葉がふさわしいのかわかりませんが、「大穴」的セットリストは大滝詠一さんの『君は天然色』でした。

皆さんの中で「名演」「名パフォーマンス」と思えるステージはありますでしょうか。
どこか「歴史的瞬間」とも表現したくなるようなそんな名演は今の時代、ネットにたくさん転がっているもので、私の中で言えばYOUTUBEで観た、荒吐ロックフェスでの奥田民生の『スロー・バラード』が代表的。
好きでいろんなライブに参加している中で、こんな歴史的瞬間のような名演に出くわすことができるのかなと思いながら過ごしてきましたが、それがまさにこの瞬間でした。

いろんなアーティストを好む私として「1番好き」は決められないのですが、悩みに悩んで1番好きなのが大滝詠一さんです。お人柄や声に併せ、名曲を生む力がある中で『うなずきマーチ』のような楽曲を作るところに「才能の無駄遣い」感を感じ、それがたまらなく好きでして、3月24日に行われたニッポン放送での公開収録にも行った程。「人生で一度は観たい」気持ちはやまやまだけど、でももう音楽の神様になられた大滝さん。そんな大滝さんのパフォーマンスを生で観ることができなくなった今、達郎さんの演奏で聴けたのとニッポン放送での公開収録を併せれば「大滝さんのライブに行った!」と等しいくらいの思い出になってしまいました。ちなみに大滝さんの楽曲のカバーはいろんな人がされているのも知ってますが、私も人間でして「この人がやるのかよ」なんて気持ちがあるのは本音です。でも、達郎さんという、大滝さんに近しく、素晴らしい方に演奏してもらったのは本当に貴重な時間で後にも先にもない感激でした。

他にももちろん定番曲でノリノリになれましたし、前回のパフォーマンスでハマったメドレーパフォーマンスも、今回は前半の『ドーナツ・ソング』で『FUSSA STRAT』やら『FADE AWAY』やら。後半には竹内まりやさんの名曲をメドレー化。達郎さんのこのメドレーパフォーマンスは、本当に音楽愛を感じられる瞬間で、エンターテインメントではなく「音楽で楽しませるんだ」という気持ちが伝わる瞬間の1つでもあるんですよね。

前回と今回と参加してやっぱり感じられたのは、お客様ファーストの気持ち。
おそらく世間一般の大多数の人は、「山下達郎って、有名だけどかったるいバラードやって、音楽に対してストイックで、世間一般では知られていない曲を好む人でしょ」と思っているのではないのでしょうか。前回のパフォーマンスを観る前の私がまさにそうでした。しかしそれはとんだ大間違い。あんなにもラジオ番組ではオールディーズを流し、マニアックなトークを繰り広げているのに、ステージはおなじみの楽曲を数多く展開。
よく商業的音楽に対する批判をミュージシャンはするイメージがあります。私自身、学生の頃にバンドをしたかった時にそのような流行歌をやろうとすると反対する人がいましたし。達郎さんもそんな節があるイメージでしたが、いやいや違いましたね。歌謡曲、流行歌という万人に耳馴染みし、多くの人がすっと受け入れられる楽曲にこそ価値がある、そんなお気持ちで音楽をやってらっしゃるように感じられました。

今回MCで大滝さんを語り始めたときに背筋がゾクゾクし、「大滝さんの曲を」といった瞬間私の頭の中では、「『君は天然色』は外すだろうな、『スピーチ・バルーン』か『恋するカレン』あたりえぐるのかな」なんて思っていた中ドラムのカウントが。私、ドラムのカウントだけで分かったんです、「『君は天然色』だ!」って(笑)
前述したようにマニアックなイメージがある中、ド定番をチョイスするあたりが、やっぱり達郎さんのお客様に対するお気持ちなんでしょうね。前回のMCの中で「どんなコンサートでも必ず初めて来てくれた人がいる。その人のために『クリスマス・イブ』は必ずやる」なんてこともおっしゃってましたしね。そこに達郎さんのお人柄を感じてしまいました。

MCも最高。
客の言葉に「うるさいんだよオジサン!」と怒り気味に突っ込むような客との掛け合いって、昔ながらのMCって感じが好きですね。ヤスキヨ漫才のような(笑)音楽で楽しませる気持ちの中にもトークで盛り上げる力を見ると「本当に場数をこなした人なんだな」なんて感じます。

来年は東京オリンピックもあって、会場や宿泊施設の兼ね合いからツアーはお休みとのこと。
今回もプロジェクションマッピングを使用してましたが、日々進歩するステージ機材等の勉強をしていくみたいです。
人生で一度はと言わず、また見たい気持ちになった達郎さんのパフォーマンス。『山下達郎 PERFORMANCE 2021』の宮城県民会…、東京エレクトロンホール宮城でお会いできるのを楽しみにしております(笑)

OPUS 〜ALL TIME BEST 1975-2012〜(通常盤)